飛鳥・奈良時代、「入浴は、病を退け、福を招く」という仏教の教えから、寺院で病人などを入浴させる施しが奨励されました。 これが、洗顔やお風呂という生活習慣になっていったようです。
そして平安時代になると、貴族は浴室を持つようになり、「小豆」を粉末にしたものを使って身体や顔を洗っていたようです。 小豆などの豆類には、泡が立ち、肌の汚れがよく落ちる成分が含まれていて、「肌をキレイにする」と言われていました。 また、お米からとれる糠(ぬか)も、平安時代に使われていた洗浄料のひとつです。
江戸時代になると、庶民にとっても洗顔が身近になり、習慣として浸透しました。 お米が主食だったことから、糠の洗顔が主流となり、布を縫い合わせた“糠袋”に糠を入れ、ぬるま湯に浸して肌の上をなでるよう洗っていました。 糠には肌をしっとりさせる成分があり、皆がこぞって洗顔をするようになりました。
糠と並んで、豆の粉をベースに生薬や香料を混ぜた「洗い粉(あらいこ)」も、よく使われました。 手のひらにとって水でといて肌にすりこむか、糠袋にいれて顔を洗うことで汚れが落ち、美白も期待されていました。 「洗い粉」は、明治、大正、昭和までさまざまな商品が販売されました。
明治の後半になると、国産石鹸が普及し、顔と体で石鹸を分けるようになりました。 朝晩の洗顔があたりまえになり、石鹸や洗い粉の他、ぬるま湯に化粧液を入れる欧米風洗顔法が話題になりました。
昭和になると、肌タイプ別の洗顔など、洗い方にもこだわるようになってきます。 その後もますます進化し、「洗顔しながらの美肌効果」や「時間短縮」「クレンジングウォッシュ」などの付加価値がつくようになりました。
現在では、さまざまな洗顔料が普及し、それに合わせて洗顔方法も増えました。 自分にピッタリの洗顔を見つけることが、女性の大きな課題であり、楽しみのひとつになっているのではないでしょうか。